マルマラ海を一気に横断、トロイの木馬のチャナッカレへ

9月4日(金) 
さて、イスタンブールを、出発!
と、いきたいところですが、スキッパー・ボブは、明日あさってと土日でお役所が休みの為、今日中にトルコ出国手続きをすることに。
ボブ氏曰く、(いつものことだけれど・・・) 無駄に勤勉な、お役人たちにたらい回しにされ、結局、午前中に出港のはずが、昼過ぎとなってしまいました。
 


初日の航行予定は、マルマラ海を一気に横断、ダーダネルス海峡を一気に下り、翌朝、トロイの遺跡の玄関口、チャナッカレに到着予定。

約132マイル。オーバーナイトとなるため、水道が使えるうちに、うどんとジャガイモをしこたま茹でて、爆弾のような大きなおにぎりをどっさりと作る。
ダーダネルス海峡は、黒海からの押し出しの追い潮に乗り、平均7ノット以上を予想。

今回のメンバーは、WV校長のスキッパー・ボブと、
来年の夏から太平洋をぐるっと一周する計画のために、まずはウインドバレー留学に来た景虎さん。
シアトルからの参加、高感度抜群中年の西出さん。
夢は宇宙でプラモデルの組み立てと、スターウオーズのような高速トリマランヨットで世界を一周のダイスケさん。
ドイツの研究所に転勤が決まり、引越しついでに大きなスーツケースと共に乗り込んだサイエンティスト・ヒデ。
と、落馬による鞭打ち後遺症と腰痛でヘルムが大の苦手、重度の船酔で薬漬けのヘロヘロセーラーの私です。一応、紅一点であります。



ウエザーキットとハーネスの準備をして、ヨットマスターコース通例の、ロングクルーズと、ナイトワッチのはじまりです。
船は順調に走行。日も暮れると、まわりは真っ暗。
ダーダネルス海峡は、狭い上に本線航路が幅をとっているため、本船航路に入らないように気をつけながらのナイトワッチです。
二人一組、二時間の三交代。星空の元、遠くの夜景を見ながら、何度か本船に追い越されました。


 
9月5日(土)

やっぱり、ナイトワッチは、キツイ・・・。寝不足・・・。
早朝、チャナッカレに到着。入港には、ブラッド・ピット主演の映画『トロイ』で使われた木馬が立っていて、入港を迎えてくれました。


   
給油のためマリーナに係留。10レグのときに、マストに登る手伝いをした船と再会し、ドックから舫いを取ってくれました。そして彼はドックに着くなり、言うのです。
「火曜から、ストームが来るぞ!」
「まじ~?」 ということで、火曜から荒れるらしい・・・。


(トロイの木馬は、船を壊して造られたと言われています。それを再現して、木材は帆船用のロープで括り、お尻には、クリートの部分が!しかも、この馬はオスらしい。 そこも、ちゃんと作られていました。
この中に兵が隠れているとも知らないトロイは、木馬を城壁の中に入れてしまい、夜中に門の鍵を開けられてしまいます。そして、スパルタの兵が、トロイの国になだれ込み、滅ぼされてしまうのです。)


次の寄港地、ギリシャ入国手続きをするためのリムノス島への到着を、日の出の後に合わせると、夕方の出港でよいこととなった。と、いうことで、ここでしばらくのんびりすることに。
禁酒のナイトワッチの反動?で、三人の男性陣たちは、レストランへ一杯飲みに。
ところが、トルコはラマダン中(断食)。
ラマダンの間は、お茶だけを飲んでいるトルコ人のなかで、三人は、小さくなりながらも、ビールを一杯。
たまたま、トルコ海軍の戦艦が停留していて、しかも、艦内を見ることができるということで、操舵室などを見学。
「歴史上、トルコ海軍は、弱かったんだよな~」と、軍艦を見上げながらボブ船長。
かつてのオスマン帝国は、陸軍は強かったけれど、海のことはさっぱりダメ。海軍というのも名ばかりで、海賊を雇い、ガレー船の漕ぎ手は、スキあらば逃げ出したいキリスト教徒奴隷の寄せ集めだったのです。結局それが、ベネチア連合艦隊との戦いでの敗北の原因でした。

もう、秋です。クラゲが大量にぷかぷか。絵の具をたらしたような、紫クラゲです。海に飛び込むのも、注意が必要。

夕方になり、ダーダネルス海峡を抜けるために出港。
これで、トルコともお別れ。海峡を抜けると、エーゲ海、ギリシャ領です。